練馬区医師会の研修に参加しました

先日、練馬区医師会学術部主催のこどもの研究会に参加してきました。

講演内容は「発達障害児と認知の特性・・コミュニケーション面への配慮も含めて」

 

今回の基本になった考え方が、“メタ認知”というものでした。

定義としては、[自分の行動・考え方・性格などを別の立場から見て認識する活動をいう。 ]と挙げられており、講義では、「自分⇔他者から見た自分」と説明を受けました。

例えば、転んだ時に「恥ずかしい」と思うのは、「他者から自分を見た時」です。

全くの1人きりの状態で転んだ場合には、「痛い」で済むことでしょうが

他者が存在する場面では、自分だけの感覚ではなく、無意識に他者から見た自分を想像してしまいます。その結果、「はずかしい」という感情が生まれる、これがメタ認知です。

この、他者からみた自分を想像することが難しい児童が、そのことから目を背けていくと

周囲から孤立していってしまう為、そのサポート=支援をする必要がある、と説明を受けました。

 

以下は10つの項目を分けて講義が進んだ内容のうち、①~⑥つの内容をお伝え致します。

 

①決定権の誤解

欲しいものが買ってもらえず、お店で泣き出す。よく聞く話ですが、これは決定権の誤解から起こることです。

全てのことが自分の思い通りになると思っている子どもが「ダメ」といわれたことにより、混乱してしまっている状況で、この際に「誰」がその事柄について決めるのかを明確にする必要があります。

「泣いてうるさいから」「次に我慢させればいい」等で、子どもの主張を受け入れてしまうと

その後の主張が全て泣くことになってしまう為、そこは譲らずに

「買う、買わないを決めるのは私(母、父等)である」と伝え、子どもたちの決定権の誤解を解き、

混乱を解消する必要があります。それと同時に、子ども本人が決められることを提示し、

事柄について決める人を伝えることで、理解を求めます。

 

②理由が分からない

「どうして?」「なんで?」と、同じことを繰り返し聞いてきては、説明しても分からない、

伝わらないことが多々あると思います。

その際に、「何回目?」「さっき説明した」等で回答を拒否してしまうと、

将来的に、自分の事情を説明できなくなってしまうことが考えられるそうです。

何度も聞いてくる場合であっても、「さっきなんて教えた?」と子どもからの問いに

まずは答えることが必要となります。そして、質問の答えを2択などの選択肢にし、

子どもが自ら答えを導けるように誘導することも効果的です。

 

③感じ方を学んでいない

自分が感じる「暑い」「疲れた」等が絶対不変であると思い、他者の感じ方を理解することが難しいことがあります。

また、「これくらい」「ちょっと」といった曖昧な表現も、感じとして掴むことができません。

受け止める相手の気持ちに鈍感なので、自分の感じたことに、そのままの行動をとります。

例)自分は疲れたからもうやらない

①の決定権の誤解とも重なる部分はありますが、自分の感じだけではないことを伝え、他の人の感じ方を教える必要があります。

そして、「乗り越え体験」を繰り返し、頑張りを認めることが大切です。

乗り換え体験の例として、登山等でゴール地点を目指し、最後まで登る。

身近なことでは、時間を決めて片足で立ち、その時間を達成するまで続ける、等。

自分では「疲れた」と感じたが、頑張った、そして褒められたという経験を重ねることで

自分だけの感じ方が変わってきます。

 

④自己安定感が弱い

「自分はできるようになる」と、できないことにもめげずに繰り返し行うことができる=自己安定感です。

しかし、できないことに対してすぐにめげてしまったり、、投げやりになってしまう等、

「できないからやらない」で終わらせようとすることがあります。

それを認めてしまうと、自己安定感が育たず、弱くなってしまいます。

③の「乗り越え体験」と少し似ていますが、今回は「成功体験」を重ね、自信をつけることが大切です。

まずは出来る目標を設定することが重要です。そして、一緒にやりましょう。

「分からない」「できない」といった時でも、サポートをしながら最後までやり遂げるようにし、

できた・できないの“結果”ではなく、頑張ってやった“過程の努力”を評価します。

そして「できた」という成功体験を繰り返し、“できるかもしれない”という自己安定感を育みます。

 

⑤自信がない

得意なことは?→ない。行きたいところは?→ない。苦手なものは?→いっぱいある。

といった、自信がなく、新しいことへのチャレンジもできない場合もあります。

また、世の中に対して「マルかバツ」の認識であるため、間違いを許すことができないこともあります。

マルでなければいけないと思い込んでいるため、バツになると怒り

そして、バツになるかもしれないことはやらないと言います。

対応としては、マルバツではなく、得意としていることを評価し、マルやバツだけではないことを

伝えていきます。

できた・できないでなく、やろうとしたこと自体を褒め、それが役に立っている、と伝えることが大切です。

 

⑥恥・自尊心が未熟

感情には個人的感情と社会的感情の2つがあります。

社会的感情とは、恥や尊敬、自尊心などが挙げられ、出来て褒められることで育ちます。

“目的もことが達成されなくても自分には関係ない”と思い、それが続くと

取り組むこと自体への拒否もでてきてしまいます。

「できないとはずかしい」「これをしないとかっこわるい」等、社会的感情を持ち

「いやだ」「やらない」という個人的感情を我慢することが必要です。

社会的感情は認められ、褒められることで育つので、取り組みの中で繰り返し伝えていきます。

 

⑦段取り、見通しを持つことが苦手

⑧過去を振り返ることが苦手

⑨感情のコントロールが苦手

⑩生活のリズムが乱れる

 

⑦以降はこちらからの呼びかけより、本人が考えることが中心になっていましたので省略しました。

 

今回の研修そのものが軽度の発達障害児、もしくは診断の出ていない児童の対応をメインとなっていましたが、学んだことはくまさんの中でも生かしていきます。

興味のある方は資料もございますので、お声掛けください(^^)

 

放課後等デイサービスくまさん石神井 小川